バロックの音楽にこそロマンがあって素敵だな、と思います。ロマン派の音楽には芸術家その人の個性が作品に投影されていますが、バロックでは多くの職業音楽家たちが様式の中で自由に音を操り、酔いしれ、楽しんでいたのだろうと思いを馳せるわけです。初心者でも親しめるものが、探せばどんどん出て来るのも嬉しい。王道とされるバッハのインヴェンションの他に、全音楽譜から出版されている「プレインヴェンション」はレッスンで重宝しています。J.S.バッハ、C.P.E.バッハ、W.F.バッハ、モーツァルト親子、ヘンデル、テレマンなどの大御所はもちろんのこと、ネーフェ、トュルク、キルンベルガーなどによるバロック時代の小曲が収められているアルバムです。上品で、ヨーロッパ宮廷の雰囲気をまとっています。
今は第六回バッハコンクールの課題曲のソルフェージェットを勉強中。ソルフェージュという言葉に「練習」「訓練」といったニュアンスが含まれます。テクニック面では指の俊敏さと強さが必要な曲ですから、恐らくその意味あいからのネーミングだと推察出来ます。曲想はトッカータ風。ダイナミックで技巧的な曲です。コンクールに限らず、普段のレッスンでも非常に有益な課題になると思います。